自己完結性2024年06月21日 08:27

3/24/11
当時勤務していた会社には造水機という製品がありました。海水、川や湖の水を飲料水に浄化する装置です。
東日本大震災により飲料水が入手出来ない地域に造水機を持って行けないか、という社長の思い付き。
造水機担当セールスのY氏から相談がありました。
造水機を動かすには電力が必要で、発電機も持っていくのか、現地での食料調達や宿泊はどうするのか、食料もテントも燃料もトイレも全て持っていくのか、現地は困難の極みにあるはずで、道路もどこが通行可能なのか分からない、海水を使用するとして出来た飲料水を必要なひとに海岸まで取りに来て貰うのか、こちらで配布するのか、容器も用意していくのか、などを質問したら諦めたようです。
自衛隊なら自己完結する装備も訓練もノウハウもあるあるでしょうが、現地がボランティアを受け入れられる状態になる前は民間企業のサラリーマンは足手まといになるだけ。

民間でも船はある程度の自己完結性が求められます。火事になっても病気をしても犯罪が起こっても、消防車も救急車もパトカーも来てくれません。火事は自分達で消すしかありません。ひとりしか居ない通信士が倒れたらモールスによる医療電報の送受信が出来ません。例え外国船でも無線電話の到達距離にいれば、電話で病状を伝えてモールスで陸上との遠距離通信を依頼することは出来ますが。

細かいことを言えばキャプテンも自分で洗濯します。シャツのボタンが取れたら自分で付けます。これが自己完結性。