船員制度近代化2024年01月12日 15:00

日本人船員の給料が高いからなんとかしようと言う言い方もあれば、運航経費に占める船員給料は微々たる割合、とも言われていて、どっちが本当だったのやら。
とにかく、もう、家族と離ればなれの過酷な職業は先進国では流行らなくなってきた、ということはあったと思います。

従来、デッキ(甲板部)とエンジン(機関部)が厳然と分割していて、それぞれがプロフェッショナルだったのですが、相互乗り入れ、どっちも出来るようにしよう、というのが近代化。

そして、無線の方はFGMDSS構想ができて、最終的にFが取れて(実現して)通信士は消滅しました。
Future Global Maritime Distress and Safety System、将来における海上の遭難及び安全に関する制度。従来、通信士が手で送信するモールスSOSの遭難通信を、海事衛星を使うことで、通信士を不要としたのです。

技術の進化、自動化で自然な流れ、社会の進歩とも言えます。

マルシップとか仕組み船というのもありましたが、その先が近代化による減員、最終的に日本人船員は要らない、という形です。
マルシップ、仕組み船:船体だけを外国に貸出(チャーター)します。外国は自国船員を乗せます。それをまたチャーターバックします。すると、日本船に外国人が乗る船が合法的になります。
但し、無線局だけは日本人通信士による運用が必要と明確に法令条文があり、通信士だけ日本人という船もありました。
船体を便宜置籍国に登録して、日本籍の船や日本人船員をほとんど持たないのが現在の海運業です。

エンジンの勉強をしていたコーターマスター、30代半ば、子どもがまだ小さかったのですが、勉強が難しいと悩んでいて、自死した例がありました。
私が初めて乗った新陽丸で、とても親切にしてくれた東北出身のコーターマスター。
世の進歩に追いついていかなければならないとはいえ、とても残念です。
KSコーターマスターを悼んで、あえてここに一筆記させて戴きます。