年金の確認2024年05月03日 08:28

1/6/09
受け取った年金特別便に対し下記の2点を電話で確認しました。

① 船員保険の倍率はいくつか?加入月数は73で加入期間は97、単純計算では1.328…中途半端な数字。
回答:昭和61年3月以前は4/3という掛け率、根拠(法律)はわからないが、社会保険庁の規則で決まっている、と頼りない回答。
船員保険加入月数73、加入期間97で、1.328倍、4/3は1.333倍、73x4/3=97.333で小数点以下切り捨てって事か?とにかく船員年金は厚生年金に対して1.3倍の加入期間と算定される。

②昭和55.6.2-55.7.28までの2ヶ月、船員保険を任意継続したと船員手帳と年金手帳にメモがあり記憶もあるが、抜けている、確認方法は?
回答:記録がないものと思うが、その旨年金特別便に回答して欲しい、とのこと。
消えた年金として調査をして貰ったが、やはり2ヶ月は加入記録が無いとのこと。
後日更に年金事務所で確認したところ、船員保険と年金は別で、保険だけ継続して年金は継続しなかったのだろうとの回答。納得、とする。

因みに、私は年金手帳を3冊持っています。
国民年金(20歳になったとき加入)
船員保険(船乗りになったとき)
厚生年金保険(船を辞めて陸に上がったとき)
最終的には厚生年金に統合です。

船員保険は、初診料が一定の800円、その後1,000円に値上がりしました。
初診料を払ったあとの再診、治療、入院は無料、海外での治療も帰国費用も保険でカバーされていました。
保険料はそれなりに高かったと思いますが、厚生保険とは違うカバーの厚い船員保険制度でした。
炭鉱労働者にも特別な保険制度があったようです。
船乗りと石炭掘りは、危険、きつい、汚い、仕事だったからでしょうか?

銀行強盗2024年04月11日 09:28

2022年10月18日
写真は紙の封筒ではなく布の袋です。
銀行強盗をしたわけではありません。
船乗りだった頃、アメリカの代理店が乗組員用の米ドルを入れて持ってきたものです。
本来は銀行に返却するものですが、なぜか返しそびれて出港、もう仕方ないので貰っておきました。
貴重品入れに使用しています。
私が初めてドルを使ったときは240円台、次の航海は220円台、かなり得した感がありました。
この頃円安で150円くらい。
経済は分かりませんが、物価高騰にはげっそり! 何とかなりませんか、統一教会の下請け政府さん?

遊覧船の遭難2024年03月29日 08:24

2022年5月22日
会社から、不要になった手回し発電機付きラジオを貰いました。
Portable Radioを思い出しました。この場合のRadioは無線通信システムを意味します。(電波のアプリケーションとして、ひとの命のかかった『通信』が先にあり、これがRadioを呼ばれ、次に娯楽の『放送』ができて、放送用受信機もラジオと呼ばれるようになりました)
Portable Radioは携帯無線電信。本船を放棄するとき、無線室から持ち出してライフボートに積み込む手回し発電機付きモールス送受信機。
発電機を回す奴から体力を無くして死んでいく、と古参の乗組員に脅されました。でも、発電機を回すのは通信士ではないので、通信士の私は心配ありません。
海に落ちたら、北の海なら体温が低下して数分、南の海なら鮫が食いに来るからやっぱり数分、とも言われました。 もちろん彼に遭難経験があるわけでは無く、遭難しない限りは新米乗組員へのジョーク、遭難したら現実。


遊覧船の遭難通信手段のひとつが携帯電話とは、めちゃめちゃ。だって、利益が一番の民間通信会社に遭難通信を任せる?加えて、通信圏を確認していないというデタラメな規制! 
そのくせアマチュア無線はダメとか、どういうことなのか?(アマチュア無線で遭難通信をやるのは『目的外通信』 遭難、緊急時は、目的外通信でもお上のお仕置きは無いと思うけど。要するに、遭難通信をやるためにアマチュア無線を予め設備しておくのはダメってこと。しかし、通信圏外の携帯は良いわけ?)

数十年前にフェリーが荒天の海で音信不通、安否不明、遭難かと大騒ぎになった事がありました。フェリーは低気圧を回避するために沖に舵を切って、結果VHF無線電話の到達距離を出てしまっただけで、無事でした。
低気圧を避けるために船が沖に逃げるのは原則。陸地側に逃げて低気圧が陸地側に来ると、船はそれ以上逃げようがないから。
つまり船には落ち度は無いんですが、強制設備がVHFという見通し距離しか届かない周波数の無線機。
その後、法令が改善されたかどうかは知りません。遊覧船とフェリーとはまた乗客数や航行区域も違ったりして、適用される法令も違うとは思いますが。

既に40年以上前になりますが私が現役船員の頃、北欧ではライフジャケットで浮いているだけでは生存できないからとイマーションスーツ(保温のため体全体をカバーする)が開発されましたが、今どの様に普及しているのか?
ただ、遊覧船で乗船時にこれを着用するのは現実的ではなく、貨物船用ですね。

EPIRB(遭難・緊急時、海に落とすと自動で位置を人工衛星に通知する無線標識)なるものもSOSが廃止された昔からありますが、遊覧船には強制されていないようです。

貨物船には、船の位置を補足するアメリカコーストガードのAMVERというシステムもありました。

これも40年以上前ですが、天気予報が民間に開放されて、遠洋航路の貨物船に気象状況に対し安全な航路を推薦するサービスが始まりました。
もちろん船でもFAXによる地上解析図、高層図、それらの24,48,72時間予想図、波浪図、静止気象衛星からの雲写真、文章によるGale Warning(強風警報)、Storm Warning(暴風雨警報)等を受信しており、航路は最終的にキャプテンが推薦航路も参考にして判断します。

推薦航路サービスは平水区域の遊覧船には適用できませんが、船や海に素人の社長が経営判断で出港を決めるのは信じられないことです。

遊覧船は通信手段にしても位置通報にしても孤独。航路が陸に近いから法令・規制が緩いのは仕方ないのか。命の数を数えたり比較出来るかどうかは知りませんが、今般の遊覧船の乗員・乗客は26人、私が貨物船に乗っていた頃の乗員は25人前後、いろいろ改善の余地あり。
犠牲者を悼みます。

泳げない私は、冬の時化ている北太平洋を片舷30度も傾くような空の材木船で航海するよりも、浦賀の渡し船に乗る方が恐い。


思い出2024年03月24日 08:06

2021年8月15日
終戦記念日にちなんで。
フィリピン・パラワン島・リオツバ(Rio Tuba、ツバ川という意味らしく)にニッケル鉱石を積み取りに行っていたのは40年ほど前です。
入港の数日前に必ず在マニラ日本大使館に、本船入港中のガードを依頼する電報を送信していました。
フィリピンコーストガードが一人か二人、M16アサルトライフルで武装して本船に泊まるのですが、実は当地は一人で上陸することも可能で、もはやモロ民族解放戦線という反政府ゲリラの出没は無くなっていて、ガードの依頼はなにか大人の事情だったのかも? 
聞くところによれば、コーストガードは飲み屋でサンミゲル(ビール)の飲み代を踏み倒したり酔って暴れたりして、住民はゲリラより政府軍の横暴に手を焼いていたと。悲しいですね。
まぁ、それくらいなら、とは言えませんが、赤ん坊が泣いたらアメリカ軍に見つかるからと母親に自分の赤ん坊を何とかしろと、そんな軍隊も存在したようです。悲しいですね。

あ、それから、ニッケル鉱山は社員のために病院を持っていましたが、診て貰うために、山というかジャングルを2日も3日も歩いて来る社員ではない病人もいたそうです。
道路が無くて周辺の町との交通は、翼からガソリンが漏れる(鉱山を技術指導する日本人駐在員の言)小型飛行機か船だけでした。
当時から我が国には救急車がありましたが、40年後の今日、とうとう死病に罹患しても政府の方針で入院できない事(2021年8月、コロナは原則自宅療養となった)になりました。悲しいですね。


コロナの頃-52024年03月20日 06:59

2020年11月15日
風が吹けば桶屋みたいな、コロナ→リモートワーク→ハンコ廃止。

 船では、無線室で乗組員全員のハンコを預かっていました。運輸省海運局に提出する船員の雇い入れ(乗船)、雇い止め(下船)書類や海員名簿などに押印するためです。休暇下船するひとには、雇い止め手続が終わったら、船員手帳と一緒に簡易書留で郵送返却。
人のハンコを預かるのも、ハンコ文化では合理的ということになるのでしょうか?

 逆に外地に提出する入港書類には、船名などをタイプライターではなくシールでという要求で、ゴム印を押していました。船名は船舶国籍証書という公的書類を提示するので確実に照合確認できるのですが。
 シンガポールだったか、ローマ字のクルーリストを用意していましたが漢字も提出しろとのことで、急遽内地向け乗組員名簿を出したこともありました。当然キャプテンの署名欄は名前のゴム印と無線室で預かっている印鑑を朱肉で押したもの。韓国でも、漢字を提出したかすかな記憶もあります。
 Crew List(乗組員名簿), Crew's Possession  List(乗組員携帯品リスト), Narcotic List(医療用麻薬),  Firearms and Ammunition List(武器弾薬リスト)、Voyage Memo(過去数ヶ月の寄港地など記載、別名List  of Port of Call)、Cargo Manifest (貨物目録)などそれぞれ数部あって、全部キャプテンがサインします。
 でも大量の公的文書などは手書きは不可能で、サインも印刷になりますね。これも合理的。

 かように、サインも何が何でも本人の手書きではないし、どこかに登録でもしていなければ別の複数の書類と照合しないと本当に本人のサインかどうか分からない。
 印鑑は百均で買えるので必ずしも本人だけが保有・押印するわけでもないけど、実印は役所に登録されているのでこれは本人が押したことがある程度担保される。
必要に応じて、合理的に便利になれば良いですね。

 乗船・航海中に運転免許の更新期間が超過して失効したとき、乗船証明書を提出すると免許が更新できて、但し都道府県により会社の発行が要求されたりあるいは船のキャプテンの名前で良かったりで、ダメ元で休暇下船直前に自分で証明書を作成、船名、会社名、船長名等は信憑性を出すために当然スタンプを押しました。キャプテンの印鑑も預かっているものを使って、私が押しました。
私の当時居住していた県ではそれで更新できて、一旦失効したので自動2輪と普通車の交付日が同じになりました。
確か、ちゃんとキャプテンの諒解を得て作成したので、有印私文書偽造にはあたらない。
ちなみにググったら時効は5年とのことで安心。
出来れば、船員手帳には乗船日・下船日が記載されていて、海運局の確認印が押されているので、乗船証明など無くてもいいのがもっと合理的。

写真は船員手帳の1ページですが『愛人契約関係』と一瞬でも思ったら、あなたの心は汚れています。