フロリダ2024年01月03日 07:16

次航はアメリカでリン鉱石という肥料を積んで、内地揚げとなりました。
積地、Tampa / Florida、1979年12月20日入港。
積荷がそろっていなかったようで、沖待ちとなりました。
沖待ち中はマグロだったか鰹だったか、70-80センチくらいの魚がたくさん釣れました。
刺身、刺身、ソそして刺身。
リン鉱石というのは鳥の糞が堆積したものと聞きました。

沖待ち中に清水(せいすい)が不足、風呂、洗濯が制限、そして禁止されました。

船には水が3種類あります。
海水:デッキを洗ったり、トイレを流したり、風呂も海水です。
雑用水:清水ですが、飲めません。陸から補給しますが、船の造水機でも作ります。
海水風呂につかったあとに、塩分を流すのに使ったり、食器洗いなど海水ではダメな用途に使います。
各部屋のベーシン(洗面台)から出るのも雑用水です。顔を洗うくらいは雑用水です。
飲料水:飲める水です。陸から補給し、雑用水とはタンクが別になっているそうです。
冷水機から出る飲料水をボトルに入れて、部屋に持ち帰ります。冷水機では紫外線殺菌してあるそうですが、こまめにフィルター交換しないと、やばいらしいです。
衛生検査で飲料水をチェックするとき、船の水ではなく陸から水を持ってきて提出するという話を衛生管理者から聞いたことがあります。
清水、Freshwaterといいます。
飲料水、Potablewaterといいます。
飲料水は内地でしか補給しない(3国間輸送は除いて)と聞いたことがあります。

聞いたことがある、が多いですが、私は無線部なので、甲板部や機関部のことは聞いて知るかありませんので、悪しからず。また衛生検査の件は、衛生管理者のサードオッサーから聞いたことです。

12月31日、とうとう緊急事態と言うことで着岸、清水補給となりました。
噂では、アメリカは水が安いのでカリブ海諸国で補給しなかったとか。
出港、1980年1月5日。

新陽丸、富山丸と続けて船で正月を迎えました。


リン鉱石揚げ2024年01月03日 12:39

再びパナマ運河を、今回は大西洋側から太平洋側へ抜けました。

そして、再びLAでバンカー、食料も補給しました。
米や肉は内地より安く長期保存も出来ますから、かなり補給するそうです。
乗組員はお土産や免税品(船内で消費する酒、煙草)を購入します。
お土産としては、グレープフルーツ、オレンジ、ハニーデューメロンなどが人気でした。

1980年2月15日、富山入港、リン鉱石揚げ。
17日出港。
会社からの本船動静連絡ハガキを見て、父母が富山に来ていました。船で会ってビックリ。

2月19日福島県、小名浜入港、リン鉱石揚げ。
21日出港。

静岡県、清水22日入港、浮きドック。
24日出港。
浮きドックというのは、ドライドック(水を抜いた造船所のドック)に入らずに、海に浮かんだままの船体、エンジン、無線検査です。中間検査はこれで良いようです。

25日静岡県、田子の浦入港、リン鉱石揚げ。
26日出港。
これで今航終了です。

アフリカ2024年01月03日 19:16

カリブ海のあとはアフリカ航路となりました。

先航同様、横浜、名古屋、神戸で中古車を650台ほど積んで、先ずはスリランカ、次に南アフリカでバンカー、それからアフリカ西岸6カ国、合わせて7港揚げです。

以下は私のVOYAGE MEMOからです。

PORT OF CALL    COUNTRY        TIME OF ARR'   TIME OF DEP'       CARGO                  

Y'hama                               0430 27/ 2/80    1130 28/ 2/80     積、Used Auto Mobiles

Nagoya                                         0230 29/ 2/80    1740 29/ 2/80         -do-

Kobe                                            1300  1/ 3/80     1600  3/ 3/80          -do-

何故かイギリス式に、日にち/月の順で書いていました。

横浜入港が1980年2月27日0430時、という意味になります。

横浜港をY'hamaと書く事がありました。


VOYAGE MEMOというのは、本来入港書類の一種で、船の要目と最近数ヶ月の寄港地をリスト化したものです。List of Port of Callとも言います。
入港書類として他には、Crew List(乗組員名簿)、Crew's possession List(乗組員携帯品リスト)、Narcotic List(医療用麻薬リスト)、Fire Arms and Ammunition List(武器、弾薬リスト)等を作成しました。
国によっては指定のフォーム、あるいはフリーフォームです。
アメリカとフィリピンではVisaed Crew List (Crew Listに在日アメリカ・フィリピン大使館で[VISAED]というスタンプを押したもの)が要求されました。
甲板部所管のCargo Manifest(積荷目録)、その他もあります。

提示(入港中預ける)する書類としては、船舶国籍証書、安全無線電信証書、満載喫水線証書などがありました。

そして入港国によって欠かせないのが、税関、入管、代理店へのお土産です。これが無いと、入港手続きがスムースに行かない場合があります。最悪の場合は船内サーチといって、捜索されてなにかひとつでも申告漏れがあると多額の罰金とか???そのような経験はありませんでしたが、そのためのお土産です。
相場はウィスキー1本、煙草200本程でした。
フィリピンではリンゴが喜ばれるので、数個追加していました。
自民党の裏金に比べれば、とてもかわいいものです。